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事前に知っておきたい「離設の法的責任」とは

離設に関わる法的責任

離設による事故は、施設の責任問題に発展することがあります。法的な考え方を理解することが、安全管理の強化につながります。

離設に関わる法的責任

何が「施設の責任」とされるのか

もし家族が離設による事故で命を落とすようなことがあれば、施設側の責任を問いたいと思うのは当然です。しかし、法的責任を追及するには、施設に「安全配慮義務違反」があったことを示す必要があります。介護施設は契約上、入居者の生命・身体を守る義務を負っており、契約書に明記されていなくても当然求められるものです。この義務を怠ったと判断されれば、家族は損害賠償を請求できます。

判断基準「予見できた離設を防げたか」

安全配慮義務違反が成立するのは、「離設が予見でき、かつ防止できたのに対策を取らなかった場合」です。
たとえば、徘徊傾向がある入居者や過去に離設歴がある入居者は再発の可能性があることが十分に予測できます。それにもかかわらず、出入口の施錠が不十分だったり、夜間巡回が不足していたり、危険時間帯の見守りが弱かったりすれば、施設側の過失が認められやすくなります。
一方で、リスクを把握したうえで居室変更や見守り強化など必要な対策を講じていた場合は、職員が一瞬目を離した隙に離設が起きたとしても義務違反とは判断されない可能性が高くなります。

職員の過失と施設の「使用者責任」

「危険性を把握していたのに情報共有を怠った」「巡回を行わなかった」などの場合は職員に過失があるため、施設は「使用者責任」を負います。職員個人の行為であっても、雇用主である施設が賠償責任を負う仕組みになっているからです。
また、施錠の故障やフェンスの破損など設備不備が原因で離設が起きた場合は、施設に「工作物責任」が生じます。設備管理の不備は、施設側の明確な過失と判断されやすい領域なので注意が必要です。

職員は法的責任を負うのか

では、入居者と直接契約関係のない職員個人が法的責任を問われることはあるのでしょうか。
民法709条の「不法行為責任」が成立する可能性がありますが、実際には職員個人に損害賠償を求めるケースはほとんどありません。個人に支払い能力がないこと、よほど悪質な行為でない限り、責任が認められにくいからです。
業務上過失致死傷罪(刑法211条)が適用される可能性がありますが、虐待などの悪質な行為がない限り、刑事責任が問われることはほとんどありません。

法的責任と道義的責任は別物

事故が起きた際、家族への説明や謝罪など「道義的責任」も求められますが、これは法的責任とは別の概念です。誠実な対応が欠けていたとしても、それだけで法的責任が発生するわけではありません。離設事故では、法的責任と道義的責任、再発防止対策は切り分けて考える必要があります。

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