事例から学ぶ教訓
離設による事故は対応の遅れや対策不足によって重大な結果を招くことがあります。実際の事例を振り返り、どのような対策が必要なのか学びましょう。

離設による死亡事故の概要
デイサービスを利用していた認知症の高齢者が離設し、最終的に低体温症で死亡した事故を一例に挙げ、問題点や施設の責任、対応について詳しく見ていきましょう。
入居者は要介護2でアルツハイマー型認知症があり、以前から離設のリスクが把握されていました。
当日は28名の入居者に対して9名の職員が配置されていましたが、休憩中の職員もおり、実際の見守り体制は十分とはいえない状況でした。このような中で入居者は施設外へ出てしまい、重大事故へと発展してしまったのです。
事故の経緯と問題点
事故当日、入居者は「家に帰りたい」と繰り返し発言しており、離設の危険性が高い状態にありました。しかし、特別な見守り強化などの対策は取られていませんでした。また、正面玄関には警報装置が設置されていたものの、非常口には対策がなく施錠もされていない状態で、その結果、入居者は非常口から外へ出てしまい、発見までに時間を要しました。
職員が離設に気づいたのは約20分後で、初動の遅れも事故の重大化につながったと考えられます。
裁判所の判断は?
裁判では、施設が入居者の離設リスクを事前に把握していた点が問題視されました。つまり、「事故は予測できたにもかかわらず、十分な対策が講じられていなかった」と判断されたのです。さらに、見守り体制や監督状況の不十分さも指摘され、「監督義務違反」も認められ、その結果、施設には高額な損害賠償が命じられました。
施設に求められる具体的な対応
この事例から介護施設に求められる対応は以下の3つです。
1つ目は「自宅に帰りたい」という思いが強い入居者に対しては、通常より丁寧な見守りを行い、行動の変化に気付けるよう個別の注意が必要である、ということです。
2つ目は徘徊傾向がある入居者については、職員全員が共通認識を持てるよう、日々の情報共有を徹底することです。
3つ目は離設の兆候が見られるなどリスクが高まった場合は担当者だけでなく、職員全員で注意を払う体制を整えることです。
日常的な情報共有とリスク管理の重要性
重大事故を防ぐためには日常的なリスク管理が不可欠です。ヒヤリハットを記録・共有することで、小さな兆候を見逃さず、早期に対応することが可能になります。また、入居者の言動や状態の変化を日々観察し、気付いた点を速やかに共有する体制も重要です。
こうした積み重ねが離設による重大事故の防止につながります。
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発生した時はどう動けばいいのか
初動対応について
離設発生時は警察へ速やかに連絡し、家族や地域と連携して対応します。発見後は入居者の安全確認を最優先とし、経緯を記録・共有して原因分析と再発防止につなげることが重要です。
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